サイト 分析 Google」で伸び悩むあなたへ。20年分の失敗から学ぶ、本当に成果へ繋がるデータ活用

株式会社サードパーティートラストでアナリストを務めております、根本と申します。ウェブ解析の世界に身を置いて、気づけば20年という月日が経ちました。

「アクセス数は増えているのに、なぜか問い合わせに繋がらない…」
「色々なデータは見てるけど、結局、次の一手が分からない…」

もしあなたが今、このような壁に突き当たっているのなら、それは決してあなた一人の悩みではありません。多くの真面目なご担当者様が、同じ場所で立ち止まってしまうのを、私は何度も見てきました。

原因は、とてもシンプルです。それは、データそのものではなく、データの「表面」だけを見てしまっているから。私たちは創業以来、「データは、人の内心が可視化されたものである」と信じてきました。数字の増減に一喜一憂するのではなく、その奥にあるユーザーの喜び、迷い、そして不満の声を聴くこと。それこそが、サイト分析で本当にビジネスを動かすための、唯一の道だと確信しています。

この記事では、小手先のテクニックやツールの機能解説に終始するつもりはありません。私が20年間で経験してきた数々の成功、そしてそれ以上に多くの「苦い失敗」から得た教訓を元に、Googleのツールを使いこなし、データからユーザーの心を読み解き、明日からの具体的な「行動」に繋げるための本質的な考え方を、あなたに直接お話しするように、丁寧にお伝えしていきます。

ハワイの風景

羅針盤を手に入れる前に。サイト分析で9割が陥る「3つの罠」

Google Analyticsなどのツールは、ビジネスという大海原を航海するための、強力な「羅針盤」です。しかし、多くの船が目的地にたどり着けずに座礁してしまう。なぜでしょうか? それは、航海の前に、致命的な見落としをしているからです。本格的な分析手法の話に入る前に、まずは私が過去に何度も目にしてきた、そして自らも陥ったことのある「失敗の罠」についてお話しさせてください。

罠1:地図が間違っていることに気づかない「設定ミス」の罠

これは基本中の基本ですが、驚くほど多くの現場で見受けられる問題です。トラッキングコードの設置漏れや二重計測、社内アクセスを除外するフィルタ設定の不備…。これらは些細なミスに見えるかもしれません。しかし、ズレた地図を頼りに航海に出るようなものです。間違ったデータに基づいて下された意思決定は、努力を無駄にするだけでなく、ビジネスを誤った方向へ導く危険すらあります。

罠2:データを急かし、信頼を失う「待てない」罠

実は、これは私自身が過去に犯した大きな失敗の一つです。新しい設定を導入したばかりのクライアントから成果を急かされ、焦りからデータ蓄積が不十分なまま「それらしい」分析レポートを提出してしまいました。しかし翌月、十分なデータが溜まると、前月の分析が全くの見当違いだったことが判明。一瞬で信頼を失ってしまいました。データは、正しい判断を下せるだけの「量」と「時間」が不可欠です。ノイズに惑わされず、確かな事実が浮かび上がるまで「待つ勇気」。これこそアナリストに求められる誠実さです。

罠3:自己満足で終わる「伝わらない」レポートの罠

かつて私は、重要なページ遷移だけを可視化する画期的な分析手法を開発し、自信満々でクライアントに提案したことがあります。しかし、担当者以外のメンバーは誰もそのデータの価値を理解できず、結局、宝の持ち腐れとなってしまいました。どんなに高度で正確な分析も、受け手が理解し、行動に移せなければ何の意味もありません。データは、それを見る人のリテラシーに合わせて「翻訳」してこそ、初めて価値を生むのです。

Google Analyticsという「羅針盤」の正しい使い方

さて、陥りがちな罠を理解した上で、いよいよ羅針盤であるGoogle Analyticsの正しい使い方を見ていきましょう。ただ機能をなぞるのではなく、「ビジネスを改善する」という目的のために、どう考え、どう活用するべきかという視点で解説します。

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最初の関門:「計測できる」と「正しく計測できる」は全く違う

前述の通り、正確なデータ収集が全ての土台です。Googleアカウントを作成し、トラッキングコードをサイトに設置する。ここまでは多くの方ができるでしょう。しかし、プロの仕事はここからが違います。

例えば「目標 設定」。あなたにとってのゴールは「問い合わせ完了」なのか「資料ダウンロード」なのか。これを正しく設定しなければ、サイトの貢献度を測ることすらできません。また、「社内からのアクセス」や「開発環境からのテストアクセス」を除外するフィルタ設定も必須です。これらを怠ると、データにかかった「ノイズ」に気づかず、ユーザーの本当の姿を見誤ってしまいます。

この初期設定は、料理で言えば「レシピの分量を正確に計る」作業と同じ。少し面倒に感じるかもしれませんが、この一手間が、後々の分析の精度を天と地ほどに分けるのです。

数字の羅列で終わらせない。ビジネスに繋がる主要指標の「読み解き方」

Google Analyticsを開くと、様々な指標が並んでいます。ユーザー数、セッション数、直帰率、コンバージョン率…。これらの数字をただ眺めているだけでは、何も始まりません。大切なのは、それぞれの数字の裏側で、ユーザーが何を感じ、どう行動しているかを想像する力です。

例えば、「直帰率が高いページ」を見つけたとします。多くの人は「このページは人気がないんだ」で思考を止めてしまいます。しかし、私たちはこう考えます。「ユーザーは期待してこのページに来たのに、欲しい情報がなかったのか?」「それとも、このページだけで疑問が解決して満足して帰ったのか?」もし後者なら、それは必ずしも悪いことではありません。

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あるいは「平均セッション時間」。これが短い場合も、「コンテンツがつまらない」と結論づけるのは早計です。「サイトのナビゲーションが分かりにくく、ユーザーが目的のページにたどり着けずに諦めてしまった」可能性も考えられます。このように、一つの数字から複数の仮説を立て、その仮説を検証するために他のデータを見ていく。この繰り返しが、本質的な課題発見に繋がるのです。

分析から「行動」へ。データを使ってビジネスを動かす実践ステップ

データから課題の仮説が見えてきたら、次はいよいよ「行動」のフェーズです。分析はあくまで現状把握の手段。最終的にビジネスを動かすのは、そこから導き出される具体的な「改善施策」に他なりません。

仮説こそが分析の「レシピ」。A/Bテストを成功させる秘訣

改善策の有効性を検証する上で、A/Bテストは非常に強力な手法です。しかし、これもまた失敗の多い領域。「ボタンの色を赤と青で試す」といった些細なテストを繰り返しても、得られる成果はごくわずかです。

私がクライアントと徹底しているルールは二つ。「比較要素は一つに絞る」そして「固定観念に囚われず、差は大胆に設ける」ことです。例えば、キャッチコピーのテストであれば、「安心と信頼の実績」といったありきたりな表現と、「もしご満足いただけなければ、全額返金します」という全く異なるメッセージをぶつけてみる。そうすることで、ユーザーが本当に求めている価値がどちらにあるのか、進むべき道が明確になります。A/Bテストの目的は、白黒つけること。中途半端な検証はリソースの無駄遣いです。

最も簡単な施策が、最も効果的だった話

アナリストは、つい見栄えのする複雑な改善案を考えがちです。しかし、20年の経験で痛感するのは「簡単な施策ほど正義」だということ。あるメディアサイトで、記事からサービスサイトへの遷移率が、どんなにリッチなバナーを置いても0.1%から上がらない、という課題がありました。

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あらゆる施策が失敗に終わる中、私たちが最後に提案したのは、記事の文脈に合わせたごく自然な「テキストリンク」を数カ所設置する、という非常に地味なものでした。結果は、劇的でした。遷移率は1.5%へと15倍に向上したのです。ユーザーにとって重要だったのは、派手なデザインではなく、「今、この文脈で知りたい情報」へのスムーズな導線だったのです。常に「最も早く、安く、簡単に実行できて、効果が大きい施策は何か?」という視点を忘れてはいけません。

分析の先にある「組織の壁」。私たちが最も大切にしていること

ここまで、データ分析の考え方や手法についてお話ししてきました。しかし、実務で最も大きな壁として立ちはだかるのは、実は「組織」の問題です。

過去に、あるクライアントサイトでコンバージョンフォームに明らかな問題を発見したことがありました。しかし、その管轄が他部署であり、組織的な抵抗を恐れた私は、その根本的な指摘を避けてしまいました。結果、1年経っても本質的な改善はなされず、膨大な機会損失を生んでしまったのです。この経験から、顧客に忖度し、言うべきことを言わないのはアナリスト失格だと学びました。

かといって、相手の事情を無視した「正論」を振りかざすだけでも、物事は動きません。顧客の予算、社内体制、メンバーのスキル。そうした現実を深く理解した上で、実現可能なロードマップを描く。しかし、「ここだけは避けて通れない」という根本的な課題については、たとえ嫌われても、粘り強く伝え続ける。

この「忖度なき提案」と「現実的な実行計画」のバランス感覚こそが、データ分析を単なるレポートで終わらせず、真にビジネスを動かす力になると、私たちは信じています。

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まとめ:データから人の心を読み解き、明日へ繋げる最初の一歩

さて、ここまで「サイト 分析 Google」というテーマで、私の経験を交えながらお話ししてきました。Googleのツールは非常に強力ですが、それはあくまで羅針盤や地図に過ぎません。大切なのは、その道具を使って何を読み解き、どこへ向かうかです。

データは、あなたのサイトを訪れる「顔の見えない顧客」が残してくれた、唯一の手がかりであり、心の声です。その声を真摯に聴き、課題を特定し、行動に移していく。このサイクルを回し続けることができれば、あなたのビジネスは必ず良い方向へ向かいます。

もし、この記事を読んで「自社だけでは難しいかもしれない」「プロの視点を取り入れてみたい」と感じられたなら、ぜひ一度、私たちにお声がけください。私たちは単なるツールの設定やレポート作成を行う会社ではありません。あなたのビジネスの課題に深く寄り添い、データという羅針盤を手に、成功という目的地まで航海を共にするパートナーです。

最後に、あなたが明日からできる「最初の一歩」を提案させてください。

まず、あなたのサイトで「ユーザーに最も見てほしい、重要なページ」を一つだけ選んでください。そして、そのページの離脱率を見てみましょう。もし高ければ、「なぜ、ユーザーはここで期待を裏切られ、去ってしまうのだろう?」と、たった5分でいいので想像してみてください。

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それが、データからユーザーの心を読み解き、ビジネスを動かす、記念すべき第一歩になるはずです。

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