「Googleフォームからの問い合わせは、ありがたいことにポツポツ来ている。でも、その一件一件が本当にビジネスの成長に繋がっているのか、正直なところ実感がない…」
「Webサイトからの資料請求は増えた。しかし、一体どんな人が、どの情報に惹かれてアクションを起こしてくれたのか。その顔が見えないままだ…」
もしあなたが、そんな歯がゆさを感じているなら、この記事はきっとお役に立てるはずです。こんにちは、株式会社サードパーティートラストでアナリストを務めております。私は20年以上、ウェブ解析という分野で、数々の企業のビジネス課題と向き合ってきました。
Googleフォームは非常に便利ですが、多くの場合、その役割は「通知を受け取るための箱」で終わってしまっています。これは、宝の山を目の前にしながら、つるはしを握っていないのと同じくらい、もったいないことなのです。
この記事では、単なる設定方法の解説に留まりません。私たちが創業以来15年間、一貫して掲げてきた「データは、人の内心が可視化されたものである」という哲学に基づき、Googleフォームのデータをいかにして「ビジネスを動かす知恵」に変えるか、その本質をお伝えします。

この記事を読み終える頃には、あなたはGoogleフォームを「使える」ツールから「活かせる」武器へと進化させる、具体的な一歩を踏み出せるようになっているはずです。
なぜ計測が必要なのか?- 「点」の成果を「線」の戦略に変えるために
そもそも、なぜ「コンバージョン計測」がこれほどまでに重要なのでしょうか。それは、ビジネスの成果を正しく測り、次の一手を決めるための「羅針盤」を手に入れるためです。
コンバージョンとは、あなたのビジネスにおける「ゴール」そのもの。問い合わせ、資料請求、セミナー申し込みなど、ユーザーに取ってほしい最終的な行動を指します。このゴールテープを切った人の数を数えずにWebサイトを運営するのは、地図も羅針盤も持たずに大海原へ漕ぎ出すようなものです。
「どの広告が無駄なコストになっているのか」「どのコンテンツがお客様の心を動かしたのか」――。これらが分からないままでは、あなたの貴重な時間と予算は、効果の薄い施策に費やされ続けてしまいます。実際に、計測を導入していなかったある企業様では、効果のない広告に気づかず、年間で数百万円もの機会損失を生んでいました。
私がいつもお伝えしているのは、「数値の改善を目的としない。ビジネスの改善を目的とする」ということです。コンバージョン数をただ眺めるだけでは意味がありません。その数字の裏側にあるユーザー 行動や感情を読み解き、「では、次に何をすべきか?」という具体的なアクションに繋げてこそ、データは初めて価値を持つのです。

GA4×GTMで実現する、Googleフォームのコンバージョン
「コンバージョン計測の重要性は分かった。でも、技術的な設定は難しそうで…」と感じるかもしれませんね。ご安心ください。Googleタグマネージャー(GTM)を使えば、Webサイトのコードを直接触ることなく、安全かつ柔軟に設定が可能です。
GTMは、ウェブサイトに埋め込む様々な計測タグを管理するための「司令塔」のようなツールです。これを使えば、まるで専門のエンジニアが隣にいるかのように、様々な計測をコントロールできます。
ここでは、Googleフォームのコンバージョンを計測するための、王道とも言える3つのステップをご紹介します。
- STEP1: 計測の終着点「サンクスページ」を設計する
- STEP2: GTMトリガーで「フォーム送信」を正確に捉える
- STEP3: GTMタグでGA4に「成果」を報告する
一つずつ、丁寧に見ていきましょう。
STEP1: 計測の終着点「サンクスページ」を設計する
まず、Googleフォームのコンバージョン計測で最も確実な方法は、フォーム送信後に特定の「サンクスページ(お礼ページ)」へ遷移させることです。このページのURLをGA4(Googleアナリティクス4)で計測することで、コンバージョンを正確に把握できます。

多くの方が、「送信が完了しました。」というデフォルトのメッセージで終わらせていますが、これは顧客との関係構築における絶好の機会を逃しています。フォームの送信は、ユーザーとの対話の「終わり」ではありません。むしろ、新たな関係性の「始まり」と捉えるべきです。
例えば、資料請求のサンクスページであれば、「ご請求ありがとうございます。資料はご入力いただいたメールアドレスへお送りしました。3分以内に届かない場合は、迷惑メールフォルダもご確認ください」といった一言を添えるだけで、ユーザーの不安は大きく和らぎます。
さらに、関連性の高い別のコンテンツへのリンクを設置したり、SNSのフォローを促したりと、次のアクションに繋げる工夫も可能です。サンクスページは単なる通過点ではなく、あなたのビジネスへの信頼と期待を育むための、重要なコミュニケーションの場なのです。
STEP2: GTMトリガーで「フォーム送信」を正確に捉える
サンクスページが用意できたら、次はそのページが表示されたことをGTMに知らせるための「トリガー」を設定します。トリガーとは、特定の条件が満たされたときに「今だ!」と計測の合図を送る、センサーのような役割を果たします。
サンクスページへの到達を計測する場合、最もシンプルなのは「ページビュー」トリガーです。サンクスページのURLを指定し、「このURLのページが表示されたら発火する」というルールを設定します。

ここでよくある失敗が、設定の思い込みです。例えば、テスト環境のURLで設定したまま公開してしまい、本番環境で全く計測されていなかった、というケースは後を絶ちません。GTMには「プレビューモード」という非常に便利な機能があります。公開前には必ずこのモードを使い、実際にフォームを送信して、意図した通りにトリガーが作動するかを確認する習慣をつけましょう。
データは正確性が命です。不正確なデータに基づいた判断は、時として何もしないことよりも悪い結果を招きます。私も若い頃、データが十分に蓄積されるのを待てず、クライアントを急かす声に負けて不完全な分析レポートを提出し、信頼を大きく損ねた苦い経験があります。正しい判断のためには「待つ勇気」と、こうした地道な確認作業が不可欠なのです。
STEP3: GTMタグでGA4に「成果」を報告する
トリガーというセンサーが反応したら、いよいよその情報をGA4に送るための「タグ」を設定します。タグは、GTMからGA4への「報告書」だと考えてください。
GA4でコンバージョンを計測する場合、「Google アナリティクス: GA4 イベント」という種類のタグを使用します。ここで重要なのは、GA4側で「どのイベントをコンバージョンとして扱うか」をあらかじめ設定しておくことです。
例えば、「generate_lead」(見込み顧客の獲得)や「sign_up」(登録)といったGA4が推奨するイベント名で送信し、GA4の管理画面でそのイベントを「コンバージョンとしてマーク」します。こうすることで、GA4は「この報告書が届いたら、コンバージョンとして1件カウントする」と認識してくれます。

この設定により、あなたはGA4のレポート上で、「どの広告から」「どのページを経由して」「どんなユーザーが」コンバージョンに至ったのかを分析できるようになります。Googleフォームという「点」の出来事が、ようやくビジネス全体の「線」のストーリーとして見えてくる瞬間です。
データは採るだけでは意味がない - 計測後の「次の一手」
さて、ここまでで計測の仕組みは整いました。しかし、本当の勝負はここからです。集めたデータをどう解釈し、どうアクションに繋げるか。それこそが、私たちアナリストの腕の見せ所であり、あなたのビジネスが飛躍するための鍵となります。
データ分析というと難しく聞こえるかもしれませんが、原点はシンプルです。それは、数字の向こう側にいる「ユーザーの姿」を想像することです。
成功哲学①:ABテストは「大胆かつシンプル」に
データを見ていると、「フォームのこの部分を改善すれば、もっと成果が上がるのでは?」という仮説が生まれてきます。その仮説を検証するのがABテストです。
よくある失敗は、ボタンの色や文言のわずかな違いなど、細かすぎるテストを繰り返してしまうこと。それでは明確な差が出にくく、時間ばかりが過ぎていきます。私が推奨するのは「比較要素は一つに絞り、差は大胆に設ける」というアプローチです。

例えば、入力項目が10個あるフォームなら、思い切って5個に減らしたバージョンと比較してみる。それだけで、コンバージョン率が劇的に改善するケースは珍しくありません。ABテストの目的は、完璧な答えを見つけることではなく、「次に進むべき道」を明確にすること。迷いを断ち切る、大胆でシンプルな問いこそが、改善のスピードを加速させます。
成功哲学②:「簡単な施策ほど正義」という価値観
アナリストは、つい複雑で高度な提案をしたくなるものです。しかし、私は長年の経験から「最も早く、安く、簡単に実行できて、効果が大きい施策は何か?」という視点を常に忘れないようにしています。
かつて、あるメディアサイトで、記事からサービスサイトへの誘導バナーのデザインを何度も変更しても、遷移率が全く改善しないという課題がありました。あらゆる分析の末、私たちが提案したのは「バナーをやめて、記事の文脈に合わせた自然なテキストリンクに変える」という、非常に地味な施策でした。
結果は驚くべきもので、遷移率は0.1%から1.5%へと15倍に向上しました。ユーザーにとって重要だったのは、リッチなデザインではなく、必要な情報が適切なタイミングで提示されることだったのです。簡単な施策を見下さず、常にユーザー視点で本質を捉えること。これもまた、データ活用の重要な哲学です。
【事例】Googleフォームのデータが、ビジネスを動かした瞬間
理論だけでなく、実際にGoogleフォームのコンバージョン計測がビジネスをどう変えたのか、具体的な事例を(企業名が特定されない形で)ご紹介します。

あるBtoBの企業様では、複数のWeb広告からホワイトペーパーのダウンロードフォームへ誘導していました。計測を導入し、広告媒体別のコンバージョン率と、その後の商談化率を分析したところ、クリック単価は高いものの、商談化率が非常に高い「お宝広告」があることが判明しました。一方で、クリック数は多いものの、全く商談に繋がっていない広告も明らかになりました。
このデータに基づき、費用対効果の低い広告を停止し、お宝広告に予算を集中させた結果、広告費全体を20%削減しながら、商談数を1.5倍に増やすことに成功しました。これは、google フォーム コンバージョン 計測が、感覚的な運用からデータドリブンな意思決定へとシフトさせた典型的な成功例です。
このように、正しく計測されたデータは、ビジネスの舵取りを誤らせないための、強力な武器となるのです。
まとめ:明日からできる、最初の一歩
ここまで、Googleフォームのコンバージョン計測の重要性から、具体的な設定方法、そしてデータをビジネスの力に変えるための考え方までをお話ししてきました。
情報量が多く、少し圧倒されてしまったかもしれません。しかし、全てを一度にやろうとする必要はありません。大切なのは、最初の一歩を踏み出すことです。

もし、あなたが明日から何かを始めるとしたら、ぜひこれを試してみてください。それは、「あなたのビジネスにとって、最も重要なGoogleフォームはどれか、一つだけ決める」ということです。
それは、会社の利益に直結する「問い合わせフォーム」かもしれませんし、未来のお客様を育てる「メルマガ登録フォーム」かもしれません。まずはその一つに狙いを定め、この記事を参考にサンクスページを用意し、コンバージョン計測を設定してみる。そこから、すべては始まります。
データという羅針盤を手にすれば、これまで見えなかった航路が、きっと拓けてくるはずです。
もし、その設定や分析の過程で、「自社の場合はどうすれば?」「このデータの解釈は正しいのだろうか?」と迷うことがあれば、いつでも私たち専門家を頼ってください。私たちは、単なる設定代行屋ではありません。あなたのビジネスの航路を共に考え、ゴールまで伴走するパートナーです。
あなたのビジネスという船が、データという追い風を受けて大きく前進する、そのお手伝いができる日を心から楽しみにしています。まずは無料相談から、お気軽にお声がけください。
