コンバージョン設定、正しくできていますか?GA4時代の「成果に繋がる」本質的な考え方

「Webサイトへのアクセスは増えているのに、なぜか売上が伸び悩んでいる」「広告の効果がどうも掴めない…」。もしあなたが今、そんな霧の中にいるような感覚を抱えているなら、その原因はコンバージョン設定の考え方にあるのかもしれません。

こんにちは。株式会社サードパーティートラストのアナリストです。私は20年間、ECサイトからBtoBサイトまで、あらゆる業界のWebサイトが抱える課題と向き合ってきました。その経験から断言できるのは、多くのビジネスが「とりあえずのコンバージョン設定」で、計り知れない機会を損失しているという事実です。

この記事は、単なるGA4 設定マニュアルではありません。私が現場で培ってきた「ビジネスを動かすためのデータ活用術」の核心部分です。なぜコンバージョン設定が重要なのか、その本質から、明日からあなたのビジネスを成長させるための具体的な思考法まで、丁寧にお話しします。

そもそもコンバージョンは?ゴールなきサイトの悲劇

「コンバージョン設定」と聞くと、多くの方が「サンクスページのURLを設定すること」を思い浮かべるかもしれません。しかし、それは本質ではありません。

私たちが考えるコンバージョン設定とは、「あなたのビジネスにおけるWebサイトの『ゴール』を明確に定義し、そこまでの道のりを可視化する羅針盤」を設置することです。

ハワイの風景

料理に例えてみましょう。どんなに新鮮で素晴らしい食材(アクセス)を集めても、完成させたい料理(ゴール)が決まっていなければ、美味しい一皿は決して出来上がりません。ただ食材を眺めているだけになってしまいます。

多くのWebサイトが、この「完成させたい料理」を決めずに、「とりあえず厨房に入ってくれた人数(サイト訪問者数)」や「食材に触ってくれた回数(PV数)」ばかりを追いかけてしまっているのです。これでは、ビジネスが前に進まないのも当然と言えるでしょう。

本当に重要なのは、「問い合わせが完了した」「資料がダウンロードされた」という事実そのものです。サンクスページの表示回数を計測するだけでは、フォーム離脱との区別がつかず、正確な成果を把握することはできません。「データは、人の内心が可視化されたものである」。これが私たちの信条です。ユーザーが本当にゴールにたどり着いたのか、その真実を捉えることが第一歩なのです。

なぜ今、GA4の「イベント」基点の考え方が重要なのか

GA4になってから、「コンバージョン設定が難しくなった」という声をよく耳にします。しかし、私はむしろ「ビジネスの本質を捉えやすくなった」と考えています。

GA4の根幹にあるのは、「すべてのユーザー 行動を『イベント』として捉える」という思想です。これは、Webサイト上のユーザーのすべての足跡を記録し、その中からビジネスにとって特に価値のある行動を「コンバージョン」という宝箱として印を付けるようなものです。

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例えば、「動画を75%以上視聴した」「特定のボタンをクリックした」「3ページ以上回遊した」といった、これまで捉えきれなかったユーザーの熱量を表す行動も、カスタムイベントとして設定し、分析の対象にできます。

ここで一つ、私が過去に経験した失敗談をお話しします。あるクライアントに、ユーザーの行動を詳細に分析できる画期的なレポートを導入したことがありました。しかし、そのレポートはあまりに専門的すぎたため、担当者の方が社内でその価値を説明しきれず、結局ほとんど活用されませんでした。

この経験から学んだのは、データは、受け手が理解し、行動に移せて初めて価値が生まれるということです。GA4で無数のイベントを設定することは可能ですが、まずはあなたのビジネスにとって最も重要なゴールは何か、たった一つでも良いので明確に定義し、それをチーム全員が理解できるシンプルな形で計測することが何よりも大切なのです。

実践編:GTMで実現する、柔軟で壊れにくいコンバージョン 計測 仕組み

「では、具体的にどうやって設定すればいいのか?」という声が聞こえてきそうですね。私たちが強く推奨しているのが、Googleタグマネージャー(GTM)の活用です。

GTMは、WebサイトとGA4や広告タグといった外部ツールをつなぐ「司令塔」のような存在です。Webサイトのソースコードを直接編集することなく、様々な計測タグを管理できます。

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なぜGTMを使うべきなのか。それは、計測の仕組みを柔軟かつ壊れにくくするためです。サイトの改修があるたびにエンジニアにタグの設置を依頼したり、タグの設置場所が分からなくなったり…そんな経験はありませんか?GTMを使えば、マーケター自身が迅速かつ正確にタグを管理でき、ビジネスのスピードを落とすことがありません。

私の信条の一つに、「できるだけコストが低く、改善幅が大きいものから優先的に実行する」というものがあります。GTMの導入は、まさにこの哲学に合致します。最初は少し学習コストがかかるかもしれませんが、長期的に見れば、修正や変更にかかる時間的・人的コストを劇的に削減してくれる、非常に効果の高い投資なのです。

広告効果を最大化する鍵は「データの連携」にあり

Google広告やMeta広告(Facebook/Instagram)など、Web広告を運用しているなら、コンバージョン設定の重要性はさらに高まります。

現代の広告プラットフォームは、非常に賢いAIを搭載しています。しかし、そのAIも「何がビジネスにとっての正解(コンバージョン)か」を教えられなければ、正しく学習することができません。

GA4で正確に計測したコンバージョンデータを広告プラットフォームに連携させることは、この優秀なAIに「最高の教科書」を与えてあげるようなものです。AIは、その教科書をもとに「どのような人に広告を見せればコンバージョンしやすいか」を自ら学習し、広告配信を自動で最適化してくれます。

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「なんとなく」で設定された不正確なコンバージョンデータを連携してしまうと、AIは間違った学習をしてしまい、成果に繋がらないユーザーにばかり広告費を投下してしまう、という最悪の事態にもなりかねません。正確なデータ連携こそが、広告の費用対効果(ROAS)を最大化する生命線なのです。

データから「人の心」を読むために。解析のプロが語る失敗と哲学

ここまで技術的な話をしてきましたが、私が最も大切にしているのは、ツールの使い方そのものではありません。そのデータから何を読み解き、どうビジネスに活かすか、という視点です。

以前、あるクライアントのコンバージョン 改善で、根本的な原因が特定のフォームにあると分かっていながら、私はその提案を躊躇してしまったことがあります。なぜなら、そのフォームの管轄が別の部署で、組織的な抵抗が予想されたからです。短期的な関係性を優先した結果、本質的な改善は1年以上も先送りになり、大きな機会損失を生んでしまいました。

この苦い経験から、私は「言うべきことは、相手の状況を理解した上で、断固として伝え続ける」という覚悟を決めました。私たちが向き合うべきは、目の前の担当者だけでなく、その先のビジネスそのものだからです。

Webサイトのクリックデータだけでは、ユーザーが「なぜ」その行動を取ったのかまでは分かりません。そこで私たちは、サイト内での行動履歴に応じて質問を出し分けるアンケートツールを自社開発し、定量データと定性データを掛け合わせて分析しています。「なぜ購入をやめたのか」「何に迷っているのか」といったユーザーの心の声を直接聞くことで、初めて本当に響く改善策が見えてくるのです。

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明日からできる、最初の一歩

さて、ここまで読んで「自分のサイトのコンバージョン設定、見直さなきゃ…」と感じていただけたなら、とても嬉しく思います。でも、どうか完璧を目指して気負わないでください。

大切なのは、今日からできる小さな一歩を踏み出すことです。

ぜひ、この記事を閉じた後、あなたのビジネスにとって「最高のゴール」とは何かを、改めて紙に書き出してみてください。それは「商品の購入」だけでしょうか?もしかしたら「質の高い問い合わせを獲得すること」かもしれませんし、「未来の優良顧客に、ブランドの価値を深く理解してもらうこと」かもしれません。

そのゴールが決まったら、次にそこへ至る道のりで、ユーザーが必ず通るべき最も重要なチェックポイント(マイルストーン)は何かを考えてみましょう。それが、あなたのビジネスの成果に直結する、本質的なコンバージョン設定の始まりです。

もし、そのゴール設定や、道のりを可視化する方法で迷うことがあれば、いつでも私たちにご相談ください。20年間、様々な業界のビジネスの「ゴール」を見つめ、伴走してきた私たちだからこそ、きっとお力になれることがあるはずです。あなたのビジネスが、データという羅針盤を手に、力強く前進していくことを心から願っています。

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まずは、こちらの無料相談フォームから、あなたのお悩みをお聞かせください。経験豊富なアナリストが、誠心誠意お応えします。

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