株式会社サードパーティートラストでアナリストを務めております、根本と申します。「SEO対策を自分で」と検索し、この記事にたどり着いたあなた。きっと、こんな期待と不安が入り混じった気持ちでいらっしゃるのではないでしょうか。
- 業者に頼むほどの予算はない。なんとか自社でコストを抑えて成果を出したい。
- 専門用語が飛び交う世界で、何から手をつければいいのか、正直途方に暮れている。
- 情報は溢れているけれど、どれが本当に自社のためになるのか見極められない。
その気持ち、痛いほどよく分かります。20年以上、ウェブ解析の世界で数々の企業の課題と向き合ってきましたが、同じような悩みを抱える担当者の方に何人もお会いしてきました。
ですが、ご安心ください。この記事は、単なるテクニックの羅列ではありません。私が20年間、現場で培ってきた「失敗しないための考え方」と、明日から踏み出せる具体的な一歩を、あなただけにコンサルティングするように、丁寧にお伝えします。読み終える頃には、あなたの不安は「これならできるかもしれない」という確信に変わっているはずです。
SEO対策を自分で始める前に:その覚悟と全体像
まず、「SEO対策を自分でやる」と決意したあなたのその姿勢は、本当に素晴らしいと思います。それは、いわば羅針盤も海図も持たずに、自社の船で大海原へ漕ぎ出そうとするような、勇気ある挑戦です。
しかし、だからこそ、最低限の航海術は身につけておかねばなりません。seo 対策とは、Googleという広大な海のルールを理解し、あなたのサイト(船)が検索結果という港で、多くの人に見つけてもらえるようにする技術のことです。

この航海術は、大きく三つの要素で成り立っています。家づくりに例えるなら、こうです。
- 内部対策:家の「基礎工事」や「設計図」です。柱を立て、部屋を区切り、人がスムーズに動ける動線を確保します。
- コンテンツ対策:家そのものの「魅力」です。暮らしやすい間取り、美しい内装、居心地の良い空間。人々が「ここにいたい」と思う理由そのものです。
- 外部対策:その家の「評判」や「信頼」です。多くの人から「あの家は素晴らしい」と推薦されることで、その価値はさらに高まります。
「自分でやる」最大のメリットは、費用を抑え、ビジネスの深い理解を持つあなたが直接舵を取れること。しかし、専門知識の習得に時間がかかり、成果が出るまで辛抱強く待つ必要があるという側面も忘れてはなりません。
ここで重要な問いは「自分でやるか、専門家に頼むか」の二択ではありません。どちらの道を選ぶにせよ、まずご自身がSEOの『言語』を理解し、その本質を掴むことが、成功への絶対条件なのです。そうでなければ、業者に依頼しても的確な指示は出せませんし、自分でやっても道に迷ってしまいます。さあ、まずはその「言語」を学ぶことから始めましょう。
内部SEO対策:ユーザーを迷わせない「おもてなしの設計図」
ウェブサイトの土台を整える「内部SEO対策」。これは、技術的な作業だと思われがちですが、私は「ウェブサイトにおける、おもてなしの心」そのものだと考えています。
どんなに素晴らしい商品や情報があっても、お店がごちゃごちゃでどこに何があるか分からなければ、お客様は帰ってしまいますよね。ウェブサイトも同じです。

まず、あなたのサイトが「誰に、何を伝えたいのか」をキーワードという形に落とし込みます。これは、お店の「看板」を決めるようなものです。そして、サイトの構造を整えます。分かりやすいURLやサイトマップは、初めて訪れたお客様への丁寧な「店内案内図」。パンくずリストは、「今あなたは、このフロアのこの場所にいますよ」と知らせる安心のサインです。
HTMLタグの最適化も、難しく考える必要はありません。タイトルタグ(title)は、検索結果に表示される「お店の名前」。メタディスクリプションは、その下で「当店はこんなお店です」と紹介する短い説明文です。お客様が「入ってみたい」と思うような、魅力的で分かりやすい言葉で語りかけることが大切です。
以前、非常にデザイン性の高いクライアントサイトがありましたが、構造が複雑すぎて、ユーザーは目的の情報になかなかたどり着けませんでした。私たちはまず、その「道案内」をシンプルに整理することから始めました。見た目の派手さより、分かりやすさを優先したのです。それだけで、サイトからすぐに離れてしまう人の割合は、目に見えて改善されました。
まずは、あなたのサイトが「初めて訪れたお客様にとって、親切な設計になっているか?」という視点で見直してみてください。それが内部対策の、最も重要な第一歩です。
コンテンツSEO:あなたの「当たり前」が、お客様の「宝物」になる
さて、ここからがSEO対策の心臓部、「コンテンツSEO」の話です。もしあなたが「キーワードをたくさん詰め込んだ記事を書くこと」だと思っているなら、その考えは今日で終わりにしましょう。

私が創業以来15年間、一貫して信じているのは「データは、人の内心が可視化されたものである」ということです。検索窓に打ち込まれるキーワードは、単なる言葉の羅列ではありません。それは、お客様一人ひとりの「悩み」や「知りたい」という切実な心の声なのです。
コンテンツSEOの本質は、その声に、あなたの言葉で、誠実に答えること。そして、その答えは、あなたの会社の中にこそ眠っています。あなたが日々の業務で培った専門知識、お客様との対話で得た気づき、製品開発の裏側にある情熱。その「あなただけが語れるストーリー」こそ、他のどこにもない最高のコンテンツなのです。
かつて、あるメディアサイトで、記事からサービスサイトへの誘導に苦戦していたクライアントがいました。どんなにリッチなバナーを作っても、クリック率は一向に上がらない。そこで私たちが提案したのは、たった一つのシンプルな施策でした。
「バナーをやめて、記事の文脈に合わせた、ごく自然なテキストリンクに変えてみませんか?」
結果、遷移率は0.1%から1.5%へ、実に15倍に向上しました。派手なデザインより、ユーザーが「まさにこの情報が欲しかった」と感じる文脈で差し伸べられた、自然な案内が圧勝したのです。これは、ユーザーが見た目より「自分ごと」として捉えられる情報を求めている、何よりの証拠です。

あなたの会社の「当たり前」は、お客様にとっては「価値ある情報」かもしれません。まずはその宝物を掘り起こすことから始めてみませんか。
外部SEO対策:一朝一夕には築けない「信頼」の育て方
ウェブサイトの「信頼性」を高める外部SEO対策。これは、現実のビジネスにおける「評判」や「口コミ」と同じだと考えてください。
その中心となるのが「被リンク(バックリンク)」です。他のサイトからあなたのサイトへ向けられたリンクのことで、いわば「推薦状」のようなもの。そして重要なのは、その量よりも「誰から推薦されているか」という質です。
あなたの業界で権威のあるサイトや、関連性の高いテーマを扱うブログからの推薦状は、非常に価値が高い。一方で、手軽だからといって、内容の薄いサイトから大量にリンクを集めたり、お金でリンクを購入したりする行為は絶対にしてはいけません。
それは、付け焼き刃の評判工作のようなもの。短期的には効果があるように見えても、Googleという賢明な評価者は必ずそれを見抜きます。近道に見える道は、崖っぷちへの一本道であることがほとんどです。

ビジネスと同じで、信頼は時間をかけて、誠実なコミュニケーションの中でしか育ちません。質の高いコンテンツを発信し続け、それが自然に「この記事は参考になる」と紹介される。あるいは、業界のイベントに登壇したり、専門メディアに寄稿したりして、あなたの専門性を広く知ってもらう。そうした地道な活動こそが、王道の外部対策なのです。
SNSでの発信や、実店舗があるならGoogleビジネスプロフィール(MEO対策)を整えることも、あなたのビジネスが「社会やコミュニティとどう繋がっているか」を示す大切な活動です。焦らず、着実に、あなたのサイトを「信頼される存在」へと育てていきましょう。
効果測定と改善:数字の向こう側にいる「お客様の顔」を見る技術
さて、ここまで航海の準備を進めてきましたが、最も重要なのが「羅針盤」と「海図」の使い方、つまり効果測定と改善です。
多くの人がここで「PVが増えた」「検索順位が3位になった」と、数字のアップダウンに一喜一憂してしまいます。しかし、私の哲学は「数値の改善を目的としない。ビジネスの改善を目的とする」です。
大切なのは、その数字の向こう側にいる「お客様の顔」を想像すること。PVが増えたのなら、「なぜこの記事に多くの人が興味を持ってくれたのだろう?」と考える。直帰率が高いページがあれば、「お客様は何にがっかりして、ページを閉じてしまったのだろう?」と、その内心に寄り添うのです。

Google AnalyticsやSearch Consoleは、そのための素晴らしいツールですが、あくまで道具にすぎません。データからユーザーの感情や行動を読み解き、ストーリーとして語ること。それがアナリストの仕事です。
過去に、こんな失敗をしたことがあります。新しい設定を導入したばかりでデータが不十分にも関わらず、クライアントを急かすあまり、不正確な分析から提案をしてしまいました。翌月、十分なデータが溜まると全く違う傾向が見え、私の提案が間違いだったことが判明しました。信頼を大きく損なう、痛恨の経験です。
この経験から学んだのは、正しい判断のためには「待つ勇気」が不可欠だということ。不確かなデータで語るくらいなら、沈黙を選ぶ。それもまた、お客様に対する誠実さなのです。
【実践編】明日から始める、自分でできるSEO対策のロードマップ
では最後に、これまでの話を具体的な「明日からできること」に落とし込んでいきましょう。完璧な計画を立てるより、まずは一歩を踏み出すことが重要です。
ステップ1:現在地を知る(無料ツールで健康診断)
まずはGoogle AnalyticsとGoogle Search Consoleを導入し、あなたのサイトの現状を把握しましょう。どれくらいの人が来て、どのページが見られているのか。それがスタートラインです。

ステップ2:最初の目的地を決める(ビジネスの目標と繋げる)
「順位を上げる」ではなく、「この記事を読んだ人から、月に3件の問い合わせを獲得する」のように、あなたのビジネスのゴールと直結した、具体的な目標を立てましょう。
ステップ3:お客様の「言葉」を見つける(キーワード選定)
あなたの顧客が、どんな言葉で悩みを検索するか想像してみましょう。高尚な専門用語ではなく、彼らが日常で使う、素朴な言葉にこそヒントがあります。
ステップ4:「簡単な施策」から実行する
私の信条は【できるだけコストが低く、改善幅が大きいものから優先的に実行】です。いきなりサイトリニューアルなどと考えず、まずは既存記事のタイトルを見直す、文中に分かりやすいテキストリンクを1本追加するなど、すぐにできることから始めてください。
ステップ5:小さく振り返り、次の一歩を考える
1ヶ月後、立てた目標に対してどうだったか振り返ってみましょう。うまくいっても、いかなくても、必ず学びがあります。その学びを元に、次の月の計画を立てる。このサイクルを回し続けることが、何よりも強力な推進力になります。
過去の私は、クライアントの体制を無視して「理想的に正しい」提案をしてしまい、全く実行されなかった苦い経験があります。理想の100点より、今のあなたが確実に実行できる60点を積み重ねること。それが、遠回りに見えて一番の近道なのです。

まとめ:あなたの「挑戦」を、本物の「成果」に変えるために
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。「SEO対策を自分で」というテーマで、私の20年間の知見を凝縮してお伝えしてきました。
SEO対策を自分で行うことは、単なるコスト削減策ではありません。それは、お客様の心を深く理解し、自社のビジネスの価値と真剣に向き合う、かけがえのないプロセスです。その旅路は、時に孤独で、険しいものに感じるかもしれません。
しかし、この記事でお伝えした「考え方」という羅針盤があれば、大きく道を踏み外すことはないはずです。データというお客様の声に耳を澄ませ、誠実な対話をコンテンツで続けていけば、必ずあなたのサイトは多くの人に愛され、ビジネスの成長に貢献してくれるでしょう。
そして、もしその旅の途中で、「専門家の海図が見てみたい」「この航路で合っているか、プロの意見が聞きたい」と感じることがあれば、いつでも私たち株式会社サードパーティートラストを頼ってください。
あなたの熱意ある挑戦を、本物の成果に変えるお手伝いができることを、心から楽しみにしています。まずは無料相談で、あなたの船の現状と、目指す港についてお聞かせいただけませんか。
